食事を食べる座敷の隅に、アップライトのピアノが置いてあった。
仲間の一人は、小さなコンサートをするピアニストで、
みなが彼女のピアノを聴きたがった。
とっさの事で、何を弾いて良いのか分からない彼女。
ドイツ育ちの彼女が、シューベルトが好きなのは知っていたから、
「シューベルトで」とリクエストしたら、
この曲を弾いてくれた。
繊細な彼女によく似合っている曲だった。
どこかで聴いた事がある、懐かしいこの繰り返しの旋律は、
私の心にも残っているものだった。
そして、風邪を引いている私の頭の中を、
この曲の冒頭が、なぜだかずっと鳴り響いていた。
何の曲だったっけ?と調べたら、同じ即興曲の第3楽章だった。
流れるような「優しい調べ」だと思う。
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