どこまでも深いアプローチ、
車を森の奥へと走らせた。
写真ではまだ、明るさを残しているけれど、
気温から感じられるのは、もう夕涼みの時間帯だということ。
静けさがあたりをやわらかく包み込んでいた。
ここで今まで一体、どれだけの素晴らしい音楽会が、
執り行われてきたんだろう。
数々の人との出会いと音の融合。
織りなされてきたその時々の輝きは、
この空間からも感じとれる。
手入れの行き届いた庭の傾斜を登ってみたら、
木の良い香りがしてきた。
どんなに東京の空気がきれいと言われてても、そんなのまったく違うレベル。
つややかで爽やかで、懐かしい香りだった。
生き物の気配がする。
森は生きている。
生きているからこそ、もたらされる恵みがあり、
私たちに飾らない、Natural で Peaceful な喜びを与えてくれる。
私たちが何を心地よいと感じ、何を大切に守ろうとしているのか。
皮膚感覚でそれが、伝わって来る場所だった。
魂や遺伝子に刻み込まれているけれど、普段は全く閉じられている記憶。
その蓋が開けられてしまった感じがする。
わずか30分ですらそうなのだから、
森の奥に一夏でも住んでしまったなら、もう東京には帰れないんだろうな。
ふとそんなことを思った。
0 件のコメント:
コメントを投稿